ほんの小さな私事(105)

稲村コウ  2009-09-30投稿
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中に飛び込んでいってしまった香取君。そんな彼を呼び止めようとした時、櫻井君のポケットから、ピーピーという電子音が鳴り響いた。
櫻井君が、それに気付いて、ポケットから、その音を発している何らかの機械を取り出すと、それに付いているモニターをチェックする。
「凄い…こんな霊波が観測されるなんて…驚いた…。」
「霊波?何ワケわかんない事いってんのよ。何なの、それ?」
そう二人が、何らかの機械を覗き込んでいると、扉の横にあるガラスの壁に、バン!という音と共に、香取がぶつかった。
辛うじてガラスは割れなかったが、いくらかヒビが入り、香取君がぶつかった時の衝撃が、結構強かった事を物語っていた。
香取君は、壁を背にして、軽く呻き声を上げて、床にへたりこんだ。
「えっ?何?どういう事?何が起こったの?」
その様子を見て、慌てふためく高野さん。しかし、私と櫻井君は、その様子を冷静に見ていた。
『これは…今朝、私が受けた衝撃と同じ…。という事は、この原因は…。』
そう思いながら私は、山下さんだと思われる、奥の人影を見る。すると、先ほど見た靄が、より一層、不気味に蠢いているのに気付いた。
また更に言うと、赤い靄が、最初に見た時より、大きくなっている感じであった。
「どうやら…霊波は、あそこに集中しているみたいだね…。けど、どうしたものか…。」
どうやら、櫻井君の持っている機械は、私が霊の存在を識別出来るようなものと同様に、そういった存在を関知するものなのだろう。
しかし、それが解ったとして、どうしたらいいのか…。ただ、この状況を放っておくわけにはいかない…。



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