・・・もしもし、驚きました?あの時あなた急いでたのか知らませんけど、部屋に財布落としてましたよ。そこから電話番号を調べました。いえ、警察には言ってません。どうしてもお礼が言いたくて。実はあの金はある組の金なんです。ええ、ヤクザです。あの金はふとしたことから私が拝借した金なんです。追っ手は結局、私がカネを持ってないことを知るとヤツらは検討ハズレだと思ったのか、あきらめましたよ・・・
実は・・・私はヤクザから盗んでないんです。私はただあのボロいマンションに盗みに入っただけで・・・男をひとり殺しました。金はそいつのものです。身なりから見てヤクザものでした。その直後にあなたが入ってきました。あなたはお気づきではなかったようですが・・・すべてはあなたがやったことです。ごめんなさい」
ダンダンダンッ、コソ泥の背後から割れんばかりにドアが叩かれる。男はただ・・・留守電の終わった電話を一心に眺めるしかできなかった