―気がつけば俺はまたあの公園に来ていた―\r
空はすっかり暗く沈んでいたが、少女はいなかった。
昨日彼女が座っていたベンチに腰をかける。
何時間待っても彼女は現れない
次第に隼人は睡魔と戦っていた。
頭が縦に揺れている
やっぱりあれは夢だったのか…
風が吹いた。
あの香りをのせて…
―リリィだ…!!
勢いよく目を開き、匂いのする方向へ顔を向ける。
そこにはにっこりと微笑むリリィの姿がいた。
―夢じゃなかったんだ!!
隼人は彼女に駆け寄りキツく抱きしめた。
またあの不思議な香りが隼人を包み込んでいった。
「あなた本当にこの香り好きなのね…」
リリィは嫌がりもせず、優しく隼人の頭を撫でる。
昨日より香りは弱く感じたが、それでも隼人の心は満たされていた。
「離れたくない…」
彼女から離れようともせず、必死に抱きしめる
「もう、本当子どもみたいな子ね。でも今日はこれまで。私だって暇じゃないのよ、ごめんね」
そのとき彼女はそっと隼人にキスをした。
抱きしめることよりもキスの方が何倍と香りが広がる。
隼人はまた意識が消えて行くのを感じた。
―どうして?
嫌だ…離れたくないんだよ
意識を失う隼人に尚も笑顔で見つめるリリィ
隼人はすっかり香りの虜となっていた
―続く―