部屋に入るなり、タクヤに強く抱き締められた。
痛いくらい力がこもっていたけど、不思議と優しい。
『愛してる。』
そう言ってタクヤがアタシにキスをする。Hの前、タクヤはいつも、アタシに『愛してる。』と言ってくれる。
優しさのつもりかもしれないけど、その一言はアタシの心に深く突き刺さる。
その一言が、いつもアタシを苦しめる。
わかってるよ。そんなの、嘘だってことくらい。
永く甘いキスの後、タクヤがアタシを優しくベッドに倒す。
そしてもう一度、
『愛してる。』
そう言ってタクヤはアタシの体に愛撫を始めた。
アタシはタクヤに気付かれないように、ひとすじの涙を流した。