『今月発売された
2ndシングルも2位と
好調ですが、
今夜はデビュー曲を
歌っていただこうと思います
えーこの曲は拓也さんが
作詞、作曲をされたんですよね?』
何度も彼の声は聞いているのに
どきどきする
愛の気持ちって
こんな感じだったのだろうか
『はい。
なんていうか…
大事な人を思ってたら
一気にできてしまって…
その曲をみんなでアレンジ加えて
作りあげたっていう…』
いつもとは違う感じがして
見ているこっちが
照れくさくなり
なんとなくにやけてみる
大事な人…私だったら
いいなあ…
インタビューが終わり
演奏するため準備にうつり
司会者が曲を紹介する
カメラが司会者から
彼らに移りまわりの
観客が騒ぐ
拓也の歌は
まだ聞いたことがない
私はさらに心臓が高鳴る
きれいなギターで始まり
彼の声が響く
気付くと私の目からは
とまることのない
涙がただただ
流れていた