何度も何度も、同じことを繰り返し、時間は知らないうちに過ぎていった。
今日は卒業式。何故かわからないけど、翔太が卒業生代表の答辞を読む。
『大丈夫なの?翔太。答辞読むなんて…』『大丈夫じゃない。出てくる…』『えっ?』『ちょっとトイレ!』『大丈夫かな…』
『早いね。もう卒業…。』『アイ。…うん。早いね…なんか、ちょっと寂しい…』『うん。…就職やめて進学にしたんだって?』『うん。グジグシしてたから、一年浪人なんだけどね。…それでも、デザイナーの道に進もうかなって。…難しいだろうけど。』━━ペンを握ることが大好きだった。今、夢に向かいたいって本気で思ってる。
『いいんじゃない?翔太もお母さんも認めてくれたんでしょ?』『うん。一緒に暮らせることにもなったし。なんとかって感じなのかな…学校行くまでは、バイトでもしてお金貯めるよ。』『頑張んないとね。』『アイは?保育士の専門学校受かったんでしょ?』『うん。頑張るつもり。ダイくんとは離れちゃうけど、頑張るよ。……でも羨ましい、好きな人と一緒に居れるアンタが。』『アイ…』『あっ!ごめん…なんか、そんなつもりはなかったんだけど。』『いいの。アイ…私こそ、なんか…ごめん。』
━━きっと、誰も知らない気持ちはこの世に沢山ある。アイも、翔太も、私も…必ず一つは、誰にも見せられない気持ちがある。
「翔太へ。今までずっと、ちゃんと言えなかったけど…翔太のことが大好きです。翔太の指も好き。背中も好き。笑った時の瞳も好き。泪も好き。声も好き。大切なものを守り抜く所も好き。きっと、嫌いな所も好き。まだ、オトコの人は怖いけど、翔太だけが怖くなければいい。私の夢は、翔太とエッチして、翔太と結婚してあなたとの子供を授かって。いつか、温かい服を作ること。叶うかな?…翔太の夢を実現させるためには、私はなんでもする。だから、翔太は私の夢を実現させるためにずっと、一緒にいてください。」