キャッチボール 第55話〜裏切られた2人 1〜

るー6  2009-10-02投稿
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今から13年前。
オレと姉ちゃんを産んでとても幸せな家族だったらしい。あまり覚えてないが。

『ハッピーバースデートゥーユー。ハッピーバースデートゥーユー。ハッピーバースデーディア龍ちゃ〜ん。ハッピバースデートゥーユー。』
みんなから祝われ、2本のろうそくを消す。
『龍ちゃんもう2歳か〜。』
『うん!』
『龍ちゃんほら見て!誕生日プレゼント!』
『あけていい?ねぇ、あけていい?』
『もう。龍ちゃんったら。いいわよ。ね、パパ?』
『もちろん。さぁ、何が入っているかな〜?』
中から出てきたのは、でかい車のおもちゃ。今は親が持っているのだろうか。
『うわ〜!ぶーぶ!』
『龍ちゃんは車が大好きだもんね。だからプレゼント!』
すると明美が、
『私もプレゼント欲しい!』
と父親に迫った。
『あーちゃんはまだ誕生日じゃないだろう。』
『がっかり…。』
『でも、誕生日の時はお人形さんを買ってあげよう。』
『ほんと!?パパ大好き〜。』
3月9日。龍吾の誕生日。あの時は、とても幸せだった。
あの時は…
オレが5歳になったとき、悲劇は突然始まる。
『龍吾。明美。公園に行こう。』
『なんで…?』
2人は突然に言われたので困る。
『だって今日、雨降ってるよ。』
龍吾は反抗したが、母親は話を全然聞かずに、
『いいから、ほら。』
とせかした。
明らかに違うとは、まだ幼かったので、思わなかった。
車で約4時間。
『ねぇママ。まだなの。』明美が少し不安になっているようだ。
『明美。いい?公園でも、とうきょうって言うところの有名な公園なの。』
『とうきょうのこうえん?』
『うん。きれいなところよ。』
こうして、オレたち2人が連れてこられた場所が孤児院。公園ではなかった。
でもまだ、2人がここが孤児院だということに気付くには、まだ幼すぎた。
『ママ。ここがこうえん?』
『うん。おともだちもいるわね。ほ〜ら、車から降りて、遊んでらっしゃい。』『はーい!』
そういって2人が車から降りた途端、車は猛スピードで走りだした。龍吾はあまりの迫力に尻餅をついてしまった。
ただ、立っていたのは、姉ちゃんだった。
『ママ…?』
東京。見知らぬ街で、置き去りにされた2人。しかし、
『龍吾。ママ…おつかい行ったみたい。』
『おつかい?』
『もうすぐ…戻って…くるよ…』
必死に龍吾を励まそうとするが、姉ちゃんは泣いていた。

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