「よ〜…新米君」肩腰に振り返ると、全身傷だらけを自慢げに見せる男が立っていた。
「な、なんすか」「君…この俺様に挨拶しないで、店を出ていこうとするなんていい度胸だな」指をボキボキならしながら、ユータを見る。「…あんた…誰？」首を傾げたユータの顔面を拳が殴り飛ばした。
「へへへ…鉄拳のゴンザ様をしらな…ん？」
パラパラと上がった埃が晴れるとゆっくりとユータが立ち上がった。
「いきなり殴るなんて…あんたも初心者か？」埃を払いのけ、ゴンザを睨みつけたユータの目はまるで別人だった。
「てめぇ…死にてぇみたいだな」頭に血管が浮き上がっている。周りの人が机や椅子を退ける。
「はぁ…拳は嫌なんだよ…やっぱり剣のほうがカッコイイじゃん」呟いたユータの目の前に拳が迫る。
シュパッ。拳が右頬を掠める。がむしゃらで力任せの乱打が迫る。「どうした！？反撃してこいよ！」
余裕の笑みを浮かべるゴンザ。「はい?んじゃ…終わり！」一瞬だった。一気に間を詰め、顎に拳を叩き込んだ。
「やっぱり…剣だよね」
カウンター嬢に苦笑しながら店をでた。
もう一度言っておこう…
彼は剣士である。
特技…魔法…拳闘……。
職業は剣士。
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