「ホント…何がなんだか…わかんない…。ねえ、あれ、何？今、何が起こってるの？」
高野さんは、取り乱した様子で、櫻井君の肩を揺さぶりながら言った。
まあ、この状況で混乱しない方が、正直、おかしいのかも知れない。
私は、自分の事が徐々に明らかになってきている事もあり、現状が少しずつ解ってきている手前、多少の事では驚かなくなった。
しかし、取り乱している高野さんをなだめている櫻井君は、まるで、こういう事に遭遇するのが、今回が初めてという訳ではなさそうなぐらい、落ち着いた態度を見せていた。
「大丈夫だから、落ち着いて。高野、保健室に行って加藤先生…保健の先生を呼んできてくれないか？僕たちは、ここの様子を見つつ、そこの彼を助けておくから。」
櫻井君は、高野さんにそう言ったあと、私の方向をチラリと見た。
私はそれが、現状を二人である程度、なんとかしようという感じの意図を含んでいる事を理解し、頷いてみせた。
「焦らず急いで。詳しい説明はあとでするから。頼んだよ。」
「う…うん。ヒデ…それに沙羅ちゃんも…気をつけてね。それじゃ…行ってくる！」
不安げな表情を見せながら、高野さんは、保健室に向かって駆け出した。
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