ほんの小さな私事(109)

稲村コウ  2009-10-03投稿
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高野さんが走り去っていったのを見届けたのち、私たちは、意識が朦朧としている香取君を、二人で両脇から支えて立ち上がらせると、そのまま、扉の外へと運び出した。
ガラスの壁に叩きつけられた際に、腕に小さな傷を負っているものの、他に外傷もないが、しばらくは床に寝かせて安静にしておくのがいいだろう。
香取君への対処を終え、私たちは改めて、扉の奥を見た。
吹き付けていた風は止んだが、奥の部屋からは、異様な気配が漂ってきていた。
先ほど、櫻井君が投げつけた機械は、既に音が停止していて、奥の部屋の扉の前に転がっていた。
「さて…あれの対処をする前に…色々と聞いておきたい事がある。君は霊の存在がわかるのかい?」
櫻井君は、今まで見せていた表情とは一変し、鋭い目をして、真剣な表情を見せていた。
そんな彼に私は、少し圧倒されながらも、何とか冷静な心を保ちながら、首を縦に振って答えた。
「ええ。…色のついた靄といった感じで見る事ができますわ。」
「…なるほどね…。」
櫻井君は、何らかの機械をポケットから取り出しつつ、私の言葉を横耳で聞きながら、軽く頷いて納得した。



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