角砂糖が溶けていくように???

紗弥佳  2009-10-03投稿
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あの夏期講習最終日の前日。
あの日が無かったら今の真夜中のこの部屋にいる僕たちは、伝えたかった言葉を今、伝えた僕は居なかっただろう。

相も変わらず僕は、最終日に向けて授業の作戦を練っていた。夏期講習最終日の五日後、生徒たちにはこの進学塾内での全体模試が待っている。

僕が受け持つ中学三年生の優秀な生徒を集めた一クラスの数学の成績が落ち込むような事が有れば、僕の指導に足りないところがあった事となり、僕はこのアルバイトを続けられなくなること必至であったし、模試の結果でワンランク下のクラスに下がる生徒を出したら生徒が親御さんに叱られてしまうなんてことがある。
あの生意気な三人組だって、そういう目には遭わせたくなかった。

責任重大かつ今までの集大成の授業が夏期講習最終日であった。

僕はいつもよりも早く出勤して、いつもに増して夢中で作戦を練っていた。

事務員さんに肩を叩かれた。僕はもう五分前なのかと驚いた顔をしていたみたいだ。

「五分前じゃなくて、藍田さんって生徒さんが昨日の授業で質問ですって。」

この「質問」が無かったら今の僕たちは居なかっただろう。

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