プロローグ
梅雨は嫌いだ。
特に朝から雨で午後2時頃を回ってから晴れてくると最悪だ!
湿度が上がって蒸されて死にそうになる。
今日は朝から鈍より曇っているから少しはマシなハズだが…
今は午後3時を過ぎた所、外は今にも雨が降り出しそうな天気だ。
だけど、この部屋の中はムシムシしていて何だか息苦しい。
呼吸を整えてみる…だけど息をするのがやっとだ。
部屋を締め切っているから仕方がないのかもしれない。
エアコンも扇風機も静かに止まっている。
壁に掛けてある時計のコチコチと言う秒針の音と心臓のドックン、ドックンと、うつ鼓動がやけに耳に響いて聞こえる。
部屋の中はサウナのように蒸し暑いが、俺は汗を一つもかいていないから不思議だ。
人間は「死を迎える時に走馬灯のように昔の事を思い出す」なんて聞いた事があるが、そんな事もないようだ。
俺は安野 丈 (アンノ ジョウ )。
36年間の楽しかった思い出をジックリと思い出している所だ。
その思い出に浸りなが今、遺言書と遺書を書いている。
正しい言い方をすれば遺言書は前に書いておいたのでテーブルの上に既に置いてある。
今は遺書の方を書いた…目が霞んでよく見えなくなって来た…
震える手で遺言書は「永遠の絆」遺書には「最後の愛」と付け加えた。
俺は決して不幸ではなかった。
むしろ幸せだった。
勿論、嫌な事や辛い事は沢山あった…だけど最後は幸せだったと言える。
…意識が遠退いて来た。
壁に掛けてある時計のコチコチと言う音が聞こえる。
心臓の………………………………………………
つづく