鱒浦は取り出した円盤をわたしに見せると言った。
「あまりやばい命令ばかりしちゃアレだから、二人で命令を決めてルーレットやろう」
本当!?
「何だ、そんなに可笑しいか?」
うん、可笑しいよ。あの鱒浦が『気遣い』を知っていたなんて。
鱒浦は黙って円盤をわたしに渡すと呟いた。
「……俺ってどんなキャラだっけ…」
若者よ、大いに悩みたまえ。そして永遠に迷っていろ。
「どんな命令がいい?」
鱒浦がわたしに聞く。
「そうだなあ……」
わたしは円盤に油性マジックで『逆立ちで町内一周』と書いた。
鱒浦も油性マジックで『一発芸×100』と書いた。
わたしは負けじとマジックで『テレビ局を爆破』と書く。
鱒浦は淡々とマジックで『命綱無しのロッククライミング』と書く。