移籍先はすぐに見つかると高をくくっていた。
二度のトライアウトも受験し、幾つかのチームのセレクションにも参加したけれども一向に声はかからない。
まだできるという自信は、次第にもう駄目かもしれないという大きな不安に変わっていった。
そんなとき、一通の手紙が届く。小学生の女の子からのファンレターだった。
地味なポジションだったこともあって、御世辞にも人気選手とは言えないこんな俺に手紙を書こうなんて、初めは物好きな子だとしか思わなかった。
丁寧に書かれていた文章には、所々に力強い励ましの言葉が散りばめられいて、たった一人でもファンがいるというだけでも嬉しかったのに、読み終えたときにはこの子のためにも諦めずに頑張ろうという前向きな気持ちが芽生え始めていた。
すぐに返事を書き、お互いの近況などを綴って何度か手紙のやり取りは続いた。