猛「いやだ。奈々以外は好きになれない。」
私は心の中でガッツポーズをした。
春(よく言った!猛くん)
隣の奈々を見ると、真っ赤な顔で呆然としている。
奈々「……うそ。」
私を見て、奈々が泣きそうな顔で抱きついてきた。
透「そういうことは本人に言えば?」
猛「だって、避けられてるし。お前は?彼女とは進展あった?」
透「いや、オレのことはいいから。明日、必ず奈々ちゃんにもう一回挑戦してみろ。」
猛「…おう。わかった。」
野球部「集合〜!!」
二人はキャッチボールを止めて、向こうへ走って行ってしまった。
奈々「春〜!春〜!どうしよう、私すごい事聞いてしまったよ〜。夢じゃないよね〜?!」
抱きついたまま奈々は興奮していた。
春「良かったね。明日が楽しみだね。」
そう言って一緒に喜んだが、私はさっきの透くんの会話が気になっていた。
透くんには彼女がいるっぽい。
春(なんだ…。)
一瞬だけ片想いしていた自分が恥ずかしくなった。
奈々の誤解は見事に解けた。
春(透くんにお礼言わなくちゃ…)
私は透くんに会いたいような会いたくないような、複雑な気持ちになっていた。