二人はお茶を済ますと、急いで浜辺の方へ向かった。海の臭いがぷんぷんとこみあげてくる。東京湾はゆっくりと穏やかな波を立たせている。すると謎の船長らしき人物は何か落ち着きのない様子で海を望んでいた。
「あの−。あなた船長さんですか?」と正志は訪ねる。
「船長、私は海賊じゃ。ワシの名前も記憶も何も思い出せん。ワシはただ海賊という事でしか。」目の前にいる海賊のコスプレをした人物はどうやら記憶喪失のようだ。年齢は50から60歳といったところか。
「ねぇ、船長あなたが海賊ならあなたの船は何処にあるの?」とかぐや姫が問いかけた。
「船、そうだワシは船を探しているんだ。だが、その船のありかがワシには分からんのだ。」
「まいったなぁ。記憶喪失の海賊の船長か。それに名前も思い出せんときたら厄介なものだ。かぐや姫、どうする?」
「正志、この人はあなたにとって今後キーパーソンになる人なの。あなたはこの人を必要としてるの。」と強く言った。
「待てよ。確かにこの人は俺の人生に大きく影響するかもしれないけど、普通こういうケースは精神病院のが妥当だと思うけどな。病院に行けばこのおっさんの記憶が蘇るかもしれないし。」
「待て、ワシを病院送りにする気か。ワシは病院なんて絶対に嫌だ。ワシは海賊だ。ワシの船を探す事が先決だ。」だが記憶喪失の年寄りに船を探す事は不可能に思われた。
「心配しないで船長さん。あなたを病院送りなんてさせないわ!私達もあなたの船を探すのを手伝うわ。」かぐや姫は優しく言った。
「え、俺達も船を探すのを手伝うのか。でも待てよ、順調にいけばキーワードの3人目のウサギにも出会うっていう事だよな。もしかするとそいつが何とかしてくれるかも。」と正志は良い考えをひらめいた。
「そうね。三人目のウサギに賭けましょう。」
「でも何処にいるんだろう?」と正志はあきらめかけた。
するとかぐや姫が、「私のスケジュール通りだとすると、お台場の次は秋葉原よ。」と言った。
「そうきたか。よし、ウサギは必ず秋葉原にいる。」と正志は確信した。
三人は秋葉原へと向かった。・・・