「清明学園は進学率はさほど高くはありませんが、就職率は非常に高い数字を誇っています。過去の卒業生も部下達をリードしていく存在となっています。清明では、未来の日本を背負っていくリーダーを育てていきます。皆さんはここでその基盤をしっかり身につけて、輝く未来に向かって走って下さい。期待しています。以上です。」
学園長の話が終わると、一斉に拍手が沸き起こる。学園長は一礼してまた舞台の端へと歩いていった。
”次に、今日お渡しした書類等の説明を致します。お手数かけますが、お渡しした封筒の中身をお出し下さい。”
俺は再び茶封筒を開け、中身を外に出した。
”えー、皆さんもう出しましたでしょうか?では上から順に説明致します……”
そう言って進行は順に説明した。説明は主に制服、体操着の購入、選択科目、教科書、通学方法などだった。
この時、選択科目の希望をとった。選択科目とはこの学園で習う体育、芸術の種類を選択するもの。体育は剣道、柔道、芸術は書道、美術、音楽からそれぞれ一つ選択する。俺は柔道、書道を選択した。
一通り説明は終わったみたいだが、俺は何かすっきりしなかった。例の「機械」の説明がまだだったからだ。だが、そんなヤキモキした気持ちはすぐに取り払われた。
”では次に、お手持ちのその小さな機械について説明致します。今日皆さんには書類の他にUSB機器をお渡ししています。手引き冊子の25ページをお開き下さい。我が学園ではその機器を useful student's bank 略してUSBと呼んでいます。一言で言えばこれは生徒個人の財布です。この中にこの学園の専用通貨、pay point 略してPPを貯めることができます。基本的に学園内の物品はこのPPで取引されます。このPPは学園内での態度、業績で加算、減算されます。”
?これが……財布代わり?な、なんだ?USBって…よくわからない。だが、とりあえずこの学園内では現金ではなくポイントを使うということはわかった。
”PPは1PP=10円で御購入頂けます。ただし、PPを現金に換算することはできません。悪しからず…”
この独自の制度、このせいでどれだけ自分の高校生活に影響を与えるのか、この時は予測しきれなかった。