道なき道を、自分で切り開く。
進む道は、自分で決める
あの絵の下に透の名前を見て、会ってみたいと思った。
この絵を描いた人は、どんな人なんだろうと…。
ある日、ガラス越しに教室を覗いた。
すぐに、分かった。
生徒の絵を真剣に見ている。
優しそうな瞳。
透き通るような白い肌。綺麗な横顔…。
あ… 笑った。
もうこの時、俺は透に恋してたんだ。
今までまともな恋愛したことない俺が、こんな気持ちになるなんて…。
この日の内に絵画教室の体験に申し込んだ。
透に会ってすぐに左手の指輪に気づいたけど、見ないように、していた。
透の近くにいるだけで、透の横にいれるだけで、俺は俺でいられる気がした。
親も、病院も関係ない。俺の人生。
透に俺は救われたんだ。
「アキ?」
「…え」
「映画、おわった」
エンドロールもおわり、客が席を立っている。
「映画、よかったね。久しぶりに観たよ」
透が笑って言った。
透の側にいられる。
俺は幸せだ。
続く