アキ 9

ゆう  2009-10-05投稿
閲覧数[257] 良い投票[0] 悪い投票[0]

アキとは何回かデートを重ねた。

アキとの約束。
破ったら、そこでお付き合い終了。

アキは約束通り、私に指一本触れることなく、一緒に過ごしている。




「水族館なんて、初めて」
「マジで?!」
今日はアキと水族館デート。
今までデートというデートをしたことのない私には未知の領域で、内心ドキドキしていた。

水族館にはいろんな魚がいた…。
熱帯魚のようにカラフルな魚。
透明でゆらゆらと気ままに泳ぐクラゲ。
ゆっくりと泳ぐ亀。

水は蒼々としていて、空気の白い泡が、幻想的に感じられた。

私は時間も忘れ、ずっと魚たちを見ていた。

アキは何も言わず、私の横にいて、一緒に魚を見ていた。

まるで夢の世界にいるようだった。





「アキ?」

女の子の声が後ろから聞こえた。

振り返ると、アキと同じ金髪にピアス。ミニスカートで派手そうな子が立っていた。

知り合い?


「…ゆか」

知り合いみたい。


「私、あっち見てるから」
私はその場を離れて、違う水槽を見ていた。


大学の友達?

誰なんだろう?

魚を見ながらそればかり考えていた。


後ろから話してる声がかすかに聞こえる。



聞かなきゃ、よかった。



“マタ、トマリニキテネ”


そう、確かにそう聞こえた。





続く



投票

良い投票 悪い投票

感想投稿



感想


「 ゆう 」さんの小説

もっと見る

恋愛の新着小説

もっと見る

[PR]


▲ページトップ