『ヒャハハハハッッ!!
オッサン、もしかして、さっきのクソガキを逃がそうと思ってる?!』
見破られていた――
俺にパンチを食らわせたその男に、
見破られていた。
チキショウ!!
意識が朦朧としやがる!!
『クソガキなら、ちゃ〜んとここに、いらっしゃいまぁ〜〜す♪
キャハハハハッッ!!』
残る2人の男が、ユウの腕を片方ずつ持ち上げ、
その内の1人が、バカにした口調で言った。
我ながら誤算だった。
5人の若者を相手に、こんな子供騙しが通用するはずもなく、
先に靴下攻撃をした2人も生気を取り戻し、
俺の顔を、その鋭い目でギロリと睨み付けている。
俺は、5人の若者に取り囲まれる形となった。
あまりの恐怖に、朦朧としていた意識が一気に復活した。
『おい、オッサン。
アンタのその正義感とやらは、今時流行らないゼ?!
テレビの見過ぎじゃね?!
まぁ、最強の俺様のパンチを、もろに食らっちまったアンタも気の毒なヤツだ。
どうよ、オッサン。
アンタの誠意次第じゃ、そのクソガキ共々、解放してやってもいいんだゼ?!』
俺を殴ったリーダー格だと思われる男が言った。
男2人に取り押さえられているユウは、心配そうに俺を見つめている。
『‥‥‥金か?!
分かった。今の俺の所持金、全てを君達に渡す。
だから、今すぐ、そのコを解放してやってくれ。』
俺は、ズボンのケツに差していた財布を取り出すと、
中身を全て、その男に差し出した。
『ほおぅ。そうこなくちゃねぇ〜〜♪』
男は、俺の所持金全てを受け取ると、
ユウを取り押さえていた男2人に、ユウを解放するよう命じた。
『おい君、もう家に帰りなさい。』
そう言ってから俺は、解放されたユウと一緒に、この場から去ろうとした。
――と、その時だった――
『‥‥待てコラアァァァ―――ッッ!!』
とっさに、ユウの手を引いた俺は、
金を渡したリーダー格の男の顔が、
まるで、鬼の様な形相に変化する瞬間を見た――