チンゲンサイ。<25>

麻呂  2009-10-06投稿
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『ヒャハハハハッッ!!

オッサン、もしかして、さっきのクソガキを逃がそうと思ってる?!』



見破られていた――


俺にパンチを食らわせたその男に、



見破られていた。



チキショウ!!



意識が朦朧としやがる!!



『クソガキなら、ちゃ〜んとここに、いらっしゃいまぁ〜〜す♪

キャハハハハッッ!!』



残る2人の男が、ユウの腕を片方ずつ持ち上げ、


その内の1人が、バカにした口調で言った。


我ながら誤算だった。


5人の若者を相手に、こんな子供騙しが通用するはずもなく、


先に靴下攻撃をした2人も生気を取り戻し、


俺の顔を、その鋭い目でギロリと睨み付けている。


俺は、5人の若者に取り囲まれる形となった。


あまりの恐怖に、朦朧としていた意識が一気に復活した。



『おい、オッサン。
アンタのその正義感とやらは、今時流行らないゼ?!

テレビの見過ぎじゃね?!

まぁ、最強の俺様のパンチを、もろに食らっちまったアンタも気の毒なヤツだ。
どうよ、オッサン。
アンタの誠意次第じゃ、そのクソガキ共々、解放してやってもいいんだゼ?!』


俺を殴ったリーダー格だと思われる男が言った。


男2人に取り押さえられているユウは、心配そうに俺を見つめている。



『‥‥‥金か?!

分かった。今の俺の所持金、全てを君達に渡す。

だから、今すぐ、そのコを解放してやってくれ。』



俺は、ズボンのケツに差していた財布を取り出すと、


中身を全て、その男に差し出した。



『ほおぅ。そうこなくちゃねぇ〜〜♪』


男は、俺の所持金全てを受け取ると、

ユウを取り押さえていた男2人に、ユウを解放するよう命じた。



『おい君、もう家に帰りなさい。』


そう言ってから俺は、解放されたユウと一緒に、この場から去ろうとした。



――と、その時だった――



『‥‥待てコラアァァァ―――ッッ!!』



とっさに、ユウの手を引いた俺は、

金を渡したリーダー格の男の顔が、

まるで、鬼の様な形相に変化する瞬間を見た――

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