白黒ー其ノ壹

紫希  2009-10-06投稿
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ピロリパラリロ…

その日、彼は携帯が鳴る音で目がさめた。


誰ダ?


携帯の画面には、ここ半年目にする頻度が急速に増えた名前が表示されていた。


[今日、暇?暇だったら遊びましょう?]


メールの相手は彼の交際相手からだった。

彼は了承のメールを送ると布団をでた。

実のところ彼は休日に外出するのは好きではない。友人に誘われても、たいていは何かしら理由をつけて断っている。しかし………


アイツノ誘イジャ仕方ナイ


ピロリパラリロ

服を着替えているとまた携帯がなった。

彼女の部屋に来るように、という旨のメール。

彼はそれを確認すると携帯をポケットに突っ込み、カバンを掴んで部屋を出た。



雨。
灰色の世界に降る黒い雫。


扉を開くと、雨が降っていた。短く嘆息すると、傘をつかんで扉を閉める。

鍵をしめると彼は歩き始めた。



境界線をまたいで。

自分の世界をはなれて。



彼は歩きながら今から会う相手の顔を思い浮かべた。

世界が、少し、暗くなった気がした。

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