出会った時には君はもう恋をしていたね
友達が連れて来ていた女の子は小さくて色が白くて長い髪で良く笑う子だった
一目惚れと言うには大袈裟だけど
それと似たような感情を覚えた
君に視線をやっても
いつも君は隣にいる僕の友達を見ていた
僕には分かったんだ
君が恋をしている事を
帰りは君を車に乗せて家まで送った
どうにか二人になりたくてそうしたんだけど
君のあの視線を思い出すと胸が痛かった
『あいつの事好きなんだろ?』
初めて会った子にそんな事を聞くのは失礼だったかもしれない
『そんなんじゃないよ』と君は気を使うように笑った
僕は知っている
あいつが彼女を作りたがらない事を
そして君も
だから君は自分を傷付けない為に自分の気持ちに嘘をついた
だとしたら僕が奪いたい
だけど君の想いに気付いた分
僕は何もできない気がした
あれから何度か会ったけど
相変わらず君の恋は続いていた
届かない相手と知りながら笑ってそこにいる君が切なかった
『会えるだけで幸せ』
君の表情から想いが伝わる
僕が『もっと構ってやれよ』と言ってやりたくなる
そんな事を言えば君の懸命な想いを壊してしまいそうで必死で言葉を飲み込んだ
君のそんな健気さも好きだったよ
僕だって今君と同じ想いだよ
届かないと知りながらも君に恋をしているのだから
君の手を握り
今にも泣き出しそうな目をした君を抱きしめて
『僕じゃダメなの』と言えたら
君に会えるだけで幸せだよ
君を見ていると苦しいけど
恋をしている君はとても綺麗だから
悲しくて苦しくてどうしようもなくなったら
その時は僕のところへおいで
傷が癒えるまで話を聞いてあげるから
僕を選ばなくてもいい
君が楽になるなら
僕を使ってくれていいから
君のためなら僕だって笑えるから