知ってるよ。
あなたはあたしのこと
これっぽっちも好きだなんて思ってないこと。
でも、あなた知らないでしょ。
あたしはあなたの笑顔ひとつで、
馬鹿みたいに勘違いできるくらい
あなたのこと好きでしょうがないの。
――…?…――
昨日鈴木くんは確かに言った。
良いことある。って。
うそつき!
あたしがいじけながら話しを聞いてると、鈴木くんはなにかを思い出したようにポケットを探り始めた。
『…あ。そうだった。えっと…これじゃなくて―…あった!これこれ!』
ポケットから勢いよく飛び出したのは、
小さなうさぎのマスコットと鈴がついたストラップ。
『わぁッ…!!かわいい!』
『でしょ?はい。沢木にあげる。』
鈴木くんは、ひょいとあたしの手を持ち上げて、ストラップを掌にのせた。
『泉先輩いるとさ、あたしも欲しい!とかうるさいじゃん?沢木、鞄にも携帯にも鈴がついてるから、好きなのかと思って。』
『うっうん、好きなの…鈴。』
嘘。
たまたまついてただけだよ。
でも
なんでだろう。
あたし
鈴が大好きになってしまいそう。
『ジュースのおまけなんだけど、良かったら使ってよ。』
『うんっ…使う!』
あたしがおもいっきりうなずいたら、また鈴木くんは笑った。
鈴木くん。
うそつき、なんて言ってごめんね。
良いことあったね。
ほんとうに。
その後、いつもの曲がり道に先輩がいないこともあってか、
あたしはいつもより鈴木くんとたくさん喋ることが出来た。
あたしは鈴木くんの話しに夢中になって聞いて
笑ってた。
いっぱい泣きたいの我慢しながら
いっぱいいっぱい
笑ってた。