DRAGON LOVER 6章
いつまでも泣いている死神に、声をかけるのは心苦しいが…。
「なぁ。辛いのはわかるけど、いい加減泣き止んでくんないかな…?」
肩に手をあてると…。
「うるさいなっ!俺がいつ泣いたよ!」
(うわっ汚!!)
鼻水だらけの顔につい後ずさり…。
「死神様…。あたし達、ライアンを助けなきゃ…。」
エリンが寂しそうに話す。
「あっ…そうだね…。とりあえず、奈々を治してあげないと…。」
フラフラと奈々ちゃんのそばに寄り、魔力で奈々の傷を治す。
「ところで、どうやって助けるんだ?お前達だけで大丈夫なのか?」
「それなんだけど…。まず、黒幕が誰だかわかんね〜し。下手に動いてもな…。」
考え込む僕ら…。
手掛かりがないと、どうにもならない。
「………黒幕は、わかるわ。」
目を覚ました奈々ちゃんが呟いた。
「奈々ちゃん…大丈夫…?」
エリンは奈々ちゃんに駆け寄り手を握りしめた。
「うん。心配かけてごめんね。」
微笑んでそう答える。
「黒幕の正体がわかるって…。誰なんだ?」
僕もそばに寄り、奈々ちゃんの目を見る。
奈々ちゃんはしばらく黙り込み…。
「…黒幕は、お父さんだわ。」
と重い口を開く。
僕らは…何て言ったらいいかわからず、黙ってしまう。
「ホントなの…?」
エリンは泣きそうになりながら奈々ちゃんを見る。
頷き、暗い顔をして僕を見ると
「あたしの予知夢は完璧だわ。」
と強く答える。
奈々ちゃんの父親。
今更、何故だろう…?
「母さんも関わってる。」
すっと立ち上がり、遠くを見つめる。
辛いはずの表情は、怒りにみちた表情に変わる。
「どうゆう事だよ…。それじゃ、秀明も?」
「秀明は利用されているだけ。理由なんてわかんないけど。お父さん達を消さない限り、秀明も助からない。」
泣きたい時に、肝心なライアンはいない。
エリンがそっと奈々ちゃんを抱きしめる…。
「正司…ライアンに逢いたい…。」
いつも、人間界の名前で呼んでいたのに、初めて魔界名でライアンを呼ぶ。
奈々ちゃんは泣き崩れ、大声で叫ぶ。
その姿は
痛いくらい切なくて
僕も泣きそうになった…。