奈々ちゃんが言うには、王を操る人物が奈々ちゃんの父親で母親も関わっていて、理由はわからない…。
「絵美ちゃん…。」
奈々ちゃんはエリンの顔をみて話かける。
「なに?」
「あたし…今まで自分が魔界人だなんて信じたくなかった…。でも前から自覚しなきゃいけないって思ってた…。ライアンの名前をいつまでも呼ばなかったのは、認めたくなかったの…。」
「奈々ちゃん…。」
二人は手を握り合い、真剣に話しをする。
「これからは、みんなの事ちゃんと名前で呼ぶね。ごめんね…エリン。」
「やだ…泣かないでよ。あたしもごめんね…。」
「エリン。ありがと…。」
美しい友情。
人間だったらそう言うだろう。
僕もそう感じる。
「ハーン君。あたしも連れてって…。」
奈々ちゃんは僕の前に立ち、真剣な眼差しで僕を見る。
「ハーンでいいよ…。それより、着いて来たって危ないだろう…。やめといた方がいいんじゃないか?」
「ハーンの言う通りだ。やめといた方がいい。上級の王族は手強いし、奈々は妊娠してる。ライアンの事は俺達に任せろ。」
死神も、僕の意見に賛成らしい…。
「そうだよ…。身体の方が大事だよ…。ここはあたし達に任せて…。」
エリンは、奈々ちゃんの事を心配して話しをする。
「危ない事はしない。だから連れてって…。ライアンはあたしが助けたい。それに…。」
言葉を詰まらせ、涙ぐみながら…。
「父さんと母さんの気持ちをこの目でみたい…。」
決めた事…
決心は固く、これ以上言ったって聞かないだろう…。
「わかった…。奈々は俺が守るよ。連れてってあげよう。」
「でもよ…ライアンの気持ちも考えたのか?あいつだったら連れてかないぜ…。」
僕は幼い頃からライアンを知っている。
ライアンだったら…
と考えると、やはり連れてく訳にはいかない…。
「じゃあ、奈々の気持ちも考えたのか?…ハーン、わかってやれよ。」
「ハーン…あたしからもお願い。奈々を連れて行こう…。」
エリンが抱き着いて僕に頼む。
僕は少し考えて…。
「あ〜!もう!わかったよ!だけど、死神…絶対守れよ!」
僕は仕方なく折れる。
「ありがと♪ハーン♪」
エリンは嬉しそうだが…。
僕は憂鬱だ…。