アキ 12

ゆう  2009-10-07投稿
閲覧数[251] 良い投票[0] 悪い投票[0]


「この間の展示会、名波君の絵、好評だったなぁ」
「シゲさん、ありがとう!やっぱモデルがいいからっすよ!ねっ!先生」「…バカな事言ってないの」

アキがいる空間は、穏やかだった。

こんなに穏やかでいいのかと思えるくらい、穏やかだった。


自分から荒波立てることない。

たかが彼女のひとりやふたり…。
アキは若いんだから。

私が出した条件じゃない。
”深入りしない“

そういう関係を望んだのは、私だ。


傷つく資格さえない。




「透?」
「え…」
アキに声を掛けられ我に返る。
「どした?なんかぼーっとしてたけど…」
「ううん。なんでもない」

アキに気づかれちゃいけない。

私のこんな気持ちなんて…。


それこそ、この関係がおわる。


「アキ、コーヒーでも飲もうか」
「いいね」

絵画教室から少し離れた所にあるカフェに向かって歩く。


前から、何人もの人が歩いてくる。


その中のひとり。

スーツを着たサラリーマン。

こっちを見ている。




旦那だった。





続く

i-mobile
i-mobile

投票

良い投票 悪い投票

感想投稿



感想


「 ゆう 」さんの小説

もっと見る

恋愛の新着小説

もっと見る

[PR]


▲ページトップ