アキ 15

ゆう  2009-10-08投稿
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アキと次の教室まで連絡がなかったのは初めてだ。

やっぱり旦那と会ったから…。

アキ、平然としていたけど、もし気持ちが変わったりしてたら…。

もうやめようなんて、考えてたら…。

考えれば考えるほど、嫌なことばかり頭に浮かんでくる。

こんなに一週間を長く感じたことはない。




「せんせっ」
一週間ぶりに会ったアキは、明るく声を掛けてきた。

「ア…名波君。久しぶり…」
「久しぶりって、一週間しか経ってないよ」
笑ってアキが言った。

笑えない…。

この一週間アキがどんな気持ちでいたのか、不安で仕方がない。

いい年して、一回りも下の男の子に、こんなに気持ちを振り回されて…


でも、もしかしたらこれが恋なのかな…

アキの一挙一動で喜んだり、穏やかな気持ちになれたり、嬉しかったり…逆に不安になったり、寂しかったり、嫉妬したり…

今までこんなに苦しくて、こんなに幸せな経験したことなかった。




私、アキが好きだ。



ふとアキを見ると、教室の窓越しに、あの子が立っていた。

あの水族館で会った子だ。


私のことをまっすぐな目で見ている。

…アキは気づいていない。


「あの、名波君ですか?」
教室を出て、彼女の所まで行き、声を掛ける。
「…えて」
「え?」
「…消えてよ」

ドクンっ!
心臓が大きく鳴った。

彼女は、強いまっすぐな目で私を見ている。
「あんたのせいで…」

ドクン ドクン ドクン…


彼女の右手にはナイフが握られていた。





続く

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