アキと次の教室まで連絡がなかったのは初めてだ。
やっぱり旦那と会ったから…。
アキ、平然としていたけど、もし気持ちが変わったりしてたら…。
もうやめようなんて、考えてたら…。
考えれば考えるほど、嫌なことばかり頭に浮かんでくる。
こんなに一週間を長く感じたことはない。
「せんせっ」
一週間ぶりに会ったアキは、明るく声を掛けてきた。
「ア…名波君。久しぶり…」
「久しぶりって、一週間しか経ってないよ」
笑ってアキが言った。
笑えない…。
この一週間アキがどんな気持ちでいたのか、不安で仕方がない。
いい年して、一回りも下の男の子に、こんなに気持ちを振り回されて…
でも、もしかしたらこれが恋なのかな…
アキの一挙一動で喜んだり、穏やかな気持ちになれたり、嬉しかったり…逆に不安になったり、寂しかったり、嫉妬したり…
今までこんなに苦しくて、こんなに幸せな経験したことなかった。
私、アキが好きだ。
ふとアキを見ると、教室の窓越しに、あの子が立っていた。
あの水族館で会った子だ。
私のことをまっすぐな目で見ている。
…アキは気づいていない。
「あの、名波君ですか?」
教室を出て、彼女の所まで行き、声を掛ける。
「…えて」
「え?」
「…消えてよ」
ドクンっ!
心臓が大きく鳴った。
彼女は、強いまっすぐな目で私を見ている。
「あんたのせいで…」
ドクン ドクン ドクン…
彼女の右手にはナイフが握られていた。
続く