ほんの小さな私事(113)

稲村コウ  2009-10-08投稿
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奥の部屋は、何かの資料を保管しておく倉庫のようであった。
窓は曇りガラスになっているうえに、外の天候が良くない事もあってか、日中だというのに、部屋の中は暗かった。
香取君を先頭に、私たちは、部屋の中に入り込んだ…が、その時、再び、強い風が、私たちの居る方向に吹き付けてきた。
「こいつは…風を操る事が出来るアヤカシなのか?」
「アヤカシ?」
「いわゆる妖怪とかいった類いの存在…て言えば解りやすいかも知れない。おとぎ話なんかにも描かれてるけど、あの中には、実在するのも居るんだよ。」
私自身としても、自分が有している力の事もあってか、別段、そういう事があってもおかしくはない…とは思っていた。
しかし、実際にそういったものに出会ったのは今回が初めてであり、その事実を受け入れるのには、まだ時間がかかった。
『と言うことは、山下さんに取り憑いているのは…アヤカシという事?でも…そうなると、あの靄がアヤカシなのかしら…?』
山下さんの頭上に渦巻いている赤と青の靄。それが山下さんに取り憑いているアヤカシというものになるのだろう。

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