透「………。」
春「…あ…あの…」
沈黙が痛い。
透「なんか避けられてる気がする。」
透くんが頭をかきながら下を向いてそう言った。
そして小さな声で「やっと話せるようになったのに…」と呟いた。
春「え?ちょっと、なんて?…そ、そっち行く。」
私はそう言って、ベランダへ出た。
透くんはあぐらをかいて、こちらを向いた。
私は透くんと少し離れた場所に座った。
透「はぁー…」
透くんがため息をついている。
春(どうしよう、玉砕覚悟で今告白しようか。でも透くんは友達として私と仲良くなりたいと思ってくれてるかもしれない。)
沈黙の間、私はそんなことを考えていた。
沈黙を破ったのは透くんだった。
透「春ちゃん、ひとつ勘違いしてる。」
春「?」
透「オレ彼女とかいないから。」
春「へ?だって、昨日の放課後、猛くんとの会話で…。今日だって階段のとこで。」
透「やっぱ昨日の会話か…。今日の昼休み一緒にいた子は野球部のマネージャー。部活のことで話してただけ。」
私は混乱していた。
透「猛も勘違いしてて。」
ますます混乱してきた。
春「猛くん確かに『彼女』って言ったよ?」