いつだって突然訪れる俺を
笑顔で彼女は迎えてくれる
病室に行けばいつでも
彼女に会える
当たり前じゃなくなる日が来るなんて
考えたくない
手紙しか連絡手段がないため
彼女にとって俺の見舞いは
いつでも突然だ
その日も俺が病院にくることを
ゆかは知らないはずだった
だが、その日はまるで
俺が来るのを待っていたかのように
病院の入り口の前には
しゃがみこむゆかの姿があった
すぐにゆかを見つけた俺は
彼女にかけよった
「ゆか、何してんの
風邪ひく…」
顔をあげた彼女の目は真っ赤だった
俺の顔を見ると勢いよく
抱きついた
「泣いてんの?
どうした?」
優しく声かけたが
俺の胸に顔をうずめ
ただ泣くばかりだ
俺の頭に嫌な予感がよぎる
俺はゆかを支えながら
病院の中へ足を踏み入れた
向かった先は
愛の病室だった