出会い

サン  2009-10-10投稿
閲覧数[329] 良い投票[0] 悪い投票[0]

ミミと初めて出会ったのは中学生だった。
東京から転校して来た女の子は、僕たちの憧れの的だった。

なぜこんな片田舎にと思った。ミミは気管支が弱いらしく、空気がきれいなこの町へ来たらしい。

コウは、母親の実家が東京ということもあって、ミミとすぐに仲良くなった。

ミミは人当たりがよくて、すぐにクラスに馴染んだ。

僕は仲良くなりたくて、コウに混ざって話をした。

ミミは理知的で、清楚で可愛かった。

僕はすぐにミミのことを好きになってしまった。

彼女に少しでも近づきたくて、嫌いな勉強も頑張った。
自然と部活にも身が入った。

その甲斐あって、僕はミミと同じ進学高校に入学した。

もちろん、コウも一緒だ。

コウの父は地元の名士で、県議員をしている。

コウは親の威光をかさに着ない、気さくでいい奴だった。

入学式のとき、僕はコウから宣戦布告をされた。

退屈な来賓の弔辞が響く中で、コウは名字が近いから、間に挟んで並んでいる奴など構わずに、僕に言った。

「俺はミミが好きだ。おまえも同じだろ。」

僕は本心を言われて、何と言ったらいいのか困った。それに隣の奴に聞かれているのも嫌だった。

何も答えないでいると、コウはそれを肯定と受けとったらしい。

「俺、お前にだけは負けたくない。エイはミミに会ってから変わったしな。」

僕は目を閉じた。ここまで言われて何も言わないのは、男らしくないような気がした。

「そうだよ。エイがミミを好きなのも知っていた。二人に追い付きたくて、僕は頑張った。」

「僕は逃げないよ、エイ。でも、どちらがミミと付き合うことになっても、恨みっこなしな。」

「ああ。分かった。」

こうして僕とエイはライバルになった。

もちろん親友であることにはかわりはないのだけど。


i-mobile
i-mobile

投票

良い投票 悪い投票

感想投稿



感想


「 サン 」さんの小説

もっと見る

恋愛の新着小説

もっと見る

[PR]


▲ページトップ