思い出 ?
西尾謙介と中野智樹は、愛富町の富岡小学校の同期生。
愛富町は、2つ有った炭鉱が、10年程前に相次いで閉山となって人口が激減し、謙介が小学生だった頃の、1/3位にまで減ってしまった。
特に謙介が住んでいた富岡地区は、ほとんどが炭鉱関係の住人で、そう言った人達は、閉山から10年経った現在、全てが転出してしまった。
残ったのは、8軒の農家と、代々この地区で商店を営む中野家、寺、小学校の教員等、15世帯になってしまった。
小学生も、今年の春に3人が卒業して、残った在校生は、中野智樹の娘と息子が6年生と4年生。
その他は、寺の息子が3年生と、農家の子供が3年生と新1年生の姉妹の、全校児童が5人となり、来春の新入生は、0の予定である。
富岡小学校の閉校は、誰もどうする事も出来ない、時代の流れであった。