男が一人、歩いている。
ふと
立ち止まり、前を見ると
道が三本ある。
それぞれ奥は霧に覆われており見えない。
そして
三本の立て札がそれぞれの道の向こうを指して立っている。
右から一つ目の立て札には『道のりは険しい』
二つ目の立て札には
『道のりは平坦で何も無い草原』
三つ目の立て札には
『リタイア』
と書かれている。
男は悩む。
『一番右には行きたくないな』
すると、一人の若者が後ろから歩いてきた。
『ダリィな〜!こんなのやってられっか!オレは三番目の道を行く!』
若者は舌打ちをして、ずんずんと歩いて行ってしまった。
男は
『僕もリタイアしようかな』
と一瞬、脳裏によぎる。
また、誰かの足首が近付いてきた。