ぐずぐずど泣いているエリン…。
僕は訳がわからないから思わず…
「いい加減にしろよ…なんでそうなんだよ…。訳わかんね〜だろ…。」
と愚痴をこぼす。
「奈々ばっかり…。」
「えっ?」
「奈々ばかり心配してさ…あたしだって…。」
(なんだ…ヤキモチか…。)
「そんな事ないだろ。ただ、奈々は戦闘タイプじゃねぇし、妊娠だってしてんだぞ…。仕方ないだろ?」
僕はなだめたつもりだったが、不満げに僕を睨むエリン…。
「ハーンは何もわかってない!!」
とまた怒りだす。
そしてスタスタと歩き出した。
「こらっ!勝手に行くなよっ!!危ねぇだろっ!」
「うるさいなっ!!もうほっといてっ!!」
一度言ったら聞かない…。強情っ張りなエリンにはいつも悩まされる。
その時、死神達がいる方から悲鳴が聞こえた…。
「死神!!何やってんだよっ!!」
僕は走って戻る。
死神が腕を怪我して倒れている…。
奈々の姿がない………。
「死神!!テメーは奈々を守るんじゃなかったのかよっ!!」
「ご…めん…油断…した。」
僕は舌打ちをして奈々を捜す。
「秀明に連れてかれた…。ハーン…エリンは…?」
はっとした…。
エリン!!
また走ってエリンがいた場所に戻る。
遅かった…。
エリンも何者かに…
いや…
秀明に連れていかれた…。
僕は…
エリンとの約束を守れなかった…。
肩を落とし、死神がいる場所へと戻る。
死神は、自分でキズを治していた。
「エリンも、さらわれたのか…?」
こっちを見ず、死神が呟いた。
「俺が守るって言ったのに…。死神の事言えねぇな…。」
「まだ…大丈夫だ…。エリンも奈々も消えたりしない…。」
僕はその言葉に反応して顔を上げた。
「俺は死神だ。お前達の生死ぐらいわかるさ。だから、希望を捨てるな。俺達だけでなんとかなるだろ?」
「死神………。」
「お前の力はもっとすげぇもんだぜ♪それを出し切る時がきたんだ…。頼りにしてるぜ…ケルベロス…♪」
そうだ…。
俺はケルベロスだ…。
「よ〜し!!やってやるぜっ!!」