『‥ひっ‥‥ひいぃっっ‥‥‥。』
声にならない小さな悲鳴が、廊下全体に響き渡る。
『さぁ、ドアを開けるわよ!!ナルシスト少年クン♪
生放送は終了したケド、ここから先は、あたし達が勝手に押し進めていくわよォ!!
“青春アミーゴ〜♪”』
カチャッッ―ー‐
アヤカさんが、
さっきの生放送中のハイテンションぶりが、復活しそうな勢いで、
ゲスト控え室のドアを開けた――
『アヤカさん。京谷さん。聖人。お疲れ様ですっっ!!
あっは♪奈央ちゃんもいたんだぁ〜?!』
『ひえぇっっ!!
ミ‥‥ミズホさんっっ!!』
やっぱり!!
あたしの推測は当たってたんだっっ!!
FM生放送中の、
“相談者のミズホさん16歳”とは、
あたしの大好きな先輩の、ミズホさんだったんだ!!
『ククク‥‥。奈央の顔ッッ‥‥。』
聖人は、びっくりしているあたしの顔を見て、笑ってる。
『奈央ちゃん♪
“相談者のミズホ”です☆』
イタズラっぽく笑う、
ミズホさんの笑顔から、
チャームポイントの八重歯がのぞく。
間違いなく、
あたしの知ってるミズホさんだ。
そして――
『あら、ミズホ。
奈央ちゃんと知り合いだったの?!
奇遇ね?!』
アヤカさんは、そう言ってから、
あたしに、微笑みかけたかと思うと、
すぐに、
視線を、部屋の隅で小さくなっている、中年の男へと移したんだ――