その中年男とは、
森宮 ヒロキの父親であり、
教育委員会の教育長の森宮 ヒロツグ――
森宮の父親は、手には手錠をかけ、足には足かせをはめた状態で、
イスに体を縛り付けられ、口元は布で、おおわれていた。
『ミズホ。教育長サンの口元に巻いた布と、手足の錠を外してあげな!!』
アヤカさんの指示に従い、
ミズホさんが、森宮の父親を静かに解放し始めた。
『と‥父さん‥‥。』
その姿を見て、森宮は動揺を隠せない様子だった。
だって、
森宮にしてみれば、
突然、京谷さんに、ここに連れて来られて、
自分の父親の、こんな姿を見せられた訳だから、
おそらく京谷さんは、
この状況を森宮に説明するコトは、
まだしていないと思うし――
『森宮先生♪
先ほどは、あたしの番組“青春アミーゴ”に、スペシャルゲスト様として、
生出演してくださいまして、ありがとうございました♪』
ミズホさんに、手足の錠を外されたばかりの森宮の父親と、
その息子が茫然とした表情で、互いに見合っている中、
アヤカさんが絶妙なタイミングで切り出した。