――「あー隆?
今日って取材2件だったよな?」
俺は真治の声で目を覚ました
携帯で時間を確認する
08:07
カーテンの隙間から
光がもれている
「悪いんだけど
それ1件今度にまわせないかなあ
…いや、俺じゃなくてね
拓也があんまり
体調よくなさそうだから…
頼むよ
早めに帰らして明日はオフだし
休ませた方がいいと思うから…」
電話をしている真治は
俺が見つめているのにも気付かず
窓に近寄る
カーテンを開けると
さらに部屋が明るくなった
「ごめんな
了解…ありがとう」
携帯を切り俺に気付いた真治は
驚きもせず
「あ、起きたか」
とだけ言って
台所へ向かった
「俺、元気だよ」
寝起きのはっきりしない声で
自分の家のように
冷蔵庫を開ける真治に
声をかける
「わかってるよ」
取り出したミネラルウォーターを
コップに注ぎ俺の前においた
「今日は早く仕事終わらして
ゆかちゃんの所に行こう」
「え?なんで…」
「疲れてんだろ?
休め」
真治は
いったん帰るよ
と言い残し
さっさと出て行った