目の前に立ちはだかる男共は、皆ニヤリと笑みを浮かべながら銃を向けている…。
「はぁ、なんの用だ?」
深く溜め息をつき、平然と髪を掻き上げるスティーブ。
…勿論彼に恐怖心は無い。
それどころか、余裕に満ち溢れた表情を浮かべながら男達を見つめていた。
「ふっ、お前に会いたいという人物がいる」
「何だと?」
すると男達の視線は、目の前の黒い車に釘付けになる。
スティーブも同様に今までの表情から一変し、訝しげに車を見つめ始める…。
やがて車の運転席のドアがゆっくりと開かれ、そこから1人の男性が姿を現した…。
オールバックにした長髪、そして首にはロシアンマフィア『クローディアス』のメンバーである事を示す二挺の大鎌のタトゥ…。
…その男を見たスティーブの顔に、驚愕の色が浮かぶ。
「お前は…。まさか」
その顔にスティーブは見覚えがあった。やがて嫌な予感が彼の中で渦巻き始める…。
口を開け、呆然と立ち竦むスティーブに男は言った。
「ふっ、俺を忘れたか? チェンバースだ。“アンソニー・チェンバース”だ」
「何!?」
それを聞いたスティーブの脳裏を、一瞬にして昼間に見た夢の内容が駆け巡り始める…。
続く