ある朝の出来事だった・・・
俺の目の前にオマエが現れた。
俺はオマエに「おはよぉー」と言った。
オマエは何一つ返事をしない。
俺はオマエに「元気かぁ!」と言った。
しかし、オマエはただジッとこっちを見てるだけ。
オマエはきっと無口なだんまりなんだと俺は思った。
なんかオマエの顔ってトボケてるな。
ボーっとこっちを見てるオマエの顔、滑稽だよ。
でもオマエの顔ってよく見るとハンサムだな。
無口でだんまりじゃ、オマエはモテないよ。
俺は右手を上げた。
オマエも右手を上げた。
俺は左目をまばたきさせた。
オマエも左目をまばたきさせた。
俺達の息って揃ってるな。
一緒にコンビ組んだら売れるぜ。
俺は髪型を治した。
オマエもそれを見計らってマネして髪を整えた。
俺達の髪はバッチしだな。
オマエ、今日町で女に声掛けられるかもな。
そうだ、朝の乾杯をしよう。
俺は右手に缶コーヒーを持った。
俺の右手の缶コーヒーとオマエの右手の缶コーヒーで乾杯だ。
「乾杯!」
何だ!オマエ、ドッぺルゲンガーか!
な、訳無いよな。オマエは無口でだんまりなとぼけた青年だ。
何か今日は俺達、イケそうな気がするな。
「じゃあな。Have a nice day!」
俺は洗面所を後にした。
オマエも鏡から姿を消した。・・・