ワタシがお水デビューして半年が過ぎた頃だった。
いつもはフリー客につけてもらえないはずが
その日はつくことになった。
気紛れな上司にあきれながら
ワタシは待機boxから動き出した。
三人組の一番手前のヒトにお辞儀をして、横に座った。
時間制キャバクラ。
カラオケとビールは別途いただきます的な時間が流れ
ワタシのついたヒトは歌も歌わない、普通っぽい感じのヒトだった。
だからって暗い性格なんぢゃなくて、他の二人と明らかにテンションが違うだけのように見えた。
まぁそのほうが良かった。
ワタシのテンションに近くて。
延長はできないと言われて
名刺はいいやと思ったが
なぜか気になって
急いでメルアドを書いて渡した。
“あんまり渡さないんだけど”
そう言ったワタシに
“ぢゃ貴重だね”
と笑ってくれた。
お水をやって半年、畑違いかと疑問を持っていたが
素直に嬉しかった。
普通に接してくれるコトが快感だった。
今想うと
あの日がワタシにとっての未来への扉だったと
そして
開く瞬間だったんだと。