がく、さい 第四場 〜川上さんの話〜

あこ  2009-10-14投稿
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真剣な目を作った私は先生を見つめる。

すると、先生も熱い視線を私に向けた。

嘘!今、見つめ合ってる。
頭の中がほわほわした。柔らかくなって、脳みそも骨も混ざって、ぐるぐるに溶けちゃうんじゃないかと思った。











「おま、睫毛ズレてるぞ。」


先生は半笑いで言った。



一瞬何を示しているのか分からずに口を開けて馬鹿ずらしてた。きっと私。



先生はそんな私の気持ちにはお構いなしに大口を開けて笑った。

ひとしきり笑ったら妙に真面目な顔で

「化粧してくんな、高校生が。没収。」


そう言って、私の目の前に手を突き出した。


私は静々と取れかけたつけ睫毛を取って先生の手の平に置いた。


「化粧する時間あったら勉強しなさい。」



先生はまるで、先生のような口ぶりで言った。


私の溶けかけた頭はまだ正常に動いていなかった。


「あ、はい。」


私は目をぱちぱちさせて、まだノリが残るまぶたを弄りながら、ようやく言った。


「ありがとうございました。」


そう言って職員室を出る。

働かない頭と違和感の残るまぶたを抱えながら、私は自販機の前にいた。


甘いのが飲みたくなった。無性に。

牛乳のボタンを押す。

冷たい牛乳。仕方ない。


私はパックの牛乳にストローを刺し、勢いよく飲み込んだ。



「甘くない……。」



私は緊張と焦りで自販機の前の階段に座りこんでしまった。



「馬鹿。」


私は自分に向けて呟いた。




「川上さん…?何してんの。練習の時間だよ。」


聞き慣れた声がして私はだるい頭をあげた。

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