思えばその日がきっかけになって
俺はゆりのことが好きだと気づいた
決して誰にもゆりは自分の弱い部分を出したことがなかった
いつもにこにこ笑っていて皆の弱さには敏感に反応できる人だった
だから俺はゆりをその日までなんか勘違いしていたのかもしれない
ゆりは優しくて、強い
そんな勘違いを
その日、普通に学校が終わり俺は玄関に向かった
そうするとゆりが下足ロッカーの前にひどく困惑した顔をして、携帯を持った手をガタガタ振るわせて立っていた
「ゆり…?どした?」
ゆりははっとした様子で
俺に笑顔で
「なにがあ!せいや君こそそんな怖い顔して!どおしたあ?」
顔は笑っていたけど
心が震えていた
俺はそう感じた
俺は携帯を持ったゆりの手を
力強く握って
「もう大丈夫だよ」
と言った
するとゆりは張ってた糸がプッツンと切れたように
頭を俺の肩に押し付け
涙をこらえようとしながらでも泣いていた
「少しだけ…このままでいていいかな…?」
「うん…」
俺はゆりの頭に手を乗っけて
そう言った
続きます