――病院をでると
外では真治が待っていた
「そろそろ面会時間も
終了かと思って…」
そう言って俺を車に乗せた
「東京には明日戻ろう
ホテルとっておいた
隆が知ったら怒るかな」
「…ごめん」
「俺が勝手にしたんだよ
…ゆかちゃんはどうだった?」
ハンドルをきりながら
真治が聞いた
「…手術しようって言ったんだ」
「…そう
ゆかちゃんは?」
助手席の窓から
薄暗く人通りも少ない外の景色を
眺めた
「…泣いてた
何も言わなかったよ」
「…そう」
「俺、プロポーズしちゃった」
「そうか
いいじゃん」
真治は特に驚いた様子もなかった
「…何がいいんだよ」
俺がふっと笑うと
真治も馬鹿にしたように笑った
「明日また、
ゆかちゃんとこ行くんだろ」
「…うん…でも
会いたくないって
言われたらどうしよう」
情けない俺の姿を見て
真治が笑う
「まったく…
ガキみたいに
弱虫になっちまったな」
「馬鹿にすんな」
俺は真治の優しさに
ほっとさせられた