秋来ぬと
目にはさやかに
見えねども
風の音にぞ
驚かれぬる
私にこの歌から「さやか」という音をとって「紗弥佳」と母が名付けてくれた。
紗(薄絹)のように繊細で美しく弥(いや)が上に(ますます。より一層。)佳人のように綺麗で賢い女性に…という漢字にも願いが込められている。
しかし、私は薄絹みたいに美しくない。佳人のように賢い上に綺麗な女性でもない。
母は私に母を超える事を求めた。
テストは満点を取らなければ微笑んでくれない。
体育の成績が悪いと叱られる。
容姿は何も言わなかったが、私が自分の容姿に不満を言うと自信を持てと叱られる。
母は勉強も出来て、運動神経も良く、容姿も美しかった。そして努力家だった。仕事でも女性の中では早く昇進していた。
尊敬はしていた。
でも甘えられなかった。
母の微笑みが見たくて出来ない事を期待に応えようとやってみると言った。
結局私はいつも、何をやっても偏差値で言えば65。
平均より少し上。
母の期待に応えられないまま離れ離れになった。
この名前をコンプレックスに思う事が無くなるように、努力は続けようと思う。
私は私をやめることが出来ないから。