職員室で過呼吸の発作を起こした、あたしを、
聖人が保健室まで運んでくれたコト――
その後、
あたしを心配して、職員室へ向かったユカが、
森宮の父親に言った一言――
そして、
森宮 ヒロキにビンタしたコトを――
『森宮アァァ。
当時、俺の妹と同じクラスだったお前は、イジメのリーダー格だったよな?!
妹が、お前らからのイジメを苦に自殺未遂事件を起こしたトキ、
そこにいる、お前の父親が“教育長”という立場ゆえ、
金の力で、この事件をもみ消してしまった。
怒りが治まらない俺は、お前を半殺しの目に合わせた。
しかし、殴っても殴っても、俺の気持ちは晴れなかった。
そうさ、お前を何度殴ったって、
妹の心が壊れてしまった以上、
俺の気持ちが晴れるワケねぇんだよッッ!!
よだれを垂らしながら、俺を見てヘラヘラ笑っている妹を見て、
森宮‥‥テメェは、あのトキ何て言った?!』
震えている――
森宮が小さく体を震わせている――
『‥‥ボクハコレカラ、モウニドト、イジメナドイタシマセン‥‥‥て言った―――』
森宮が、蚊の鳴く様な小さな声で言ったトキ――
京谷さんの元カノのアヤカさん。
大好きな先輩のミズホさん。
あたしの大切なヒト‥‥聖人。
そして、
森宮の父親。
それは――
みんな、
それぞれの、違う思いで見ていた光景であって――
『チッ。口先だけのヤツがッッ!!
今日は、過去のコトを、とやかく言う為に、テメェら親子を引き合わせたワケではない。
森宮アァァ!!
俺は、テメェの様な卑怯な人間が、ひょうひょうと生きてやがるのが許せねぇのよ。
今回、俺が聖人に協力した理由は、それだけだ!!』
京谷さんは、
それだけ言った後は、
妹さんのコトについは、触れなかった。
ケド、あたしは知ってしまった。
京谷さんのツライ過去を。
森宮 ヒロキから執拗なイジメを受け、
自殺未遂事件を起こした妹さんの存在を――