「…ぃった!」
また足を踏まれたらしかった
美咲は相変わらず無視だ
「みっきーどうかした?」
顔を歪めた光希に猛が気付き
声をかけた
「…なんでもない
(むかつく)」
その時だった
光希の目の前にいた
美咲の顔が歪んだ
「いっった!」
「!?…どうしたん?」
美咲の足の上には
大きな男の足が乗ってる
「…ちょっとけぇちゃん!
もう足!足踏まんといてやあ」
慶太郎の表情は相変わらず
眠そうだ
みんなの視線が
慶太郎に向けられる
「…あぁ」
ゆっくり慶太郎は足をどける
そして
「…ごめん、
小学生のガキみたいに
足の踏み合いっこでも
してんのかと思って」
とさっきでは予想できないような
不敵な笑みを浮かべた
「え…?」
「…どうゆうこと?」
視線は美咲に向けられる
「な…もうっけぇちゃん
意味わからんこと
言わんといてや…
あ、チャイム鳴っちゃう
彩夏行こう
じゃあね」
明らかに動揺して
二人はさっさと去ってしまった
「行こうって…
あの二人も同じクラスやのに」
波音が去っていく二人の
後ろ姿に呟く
慶太郎は気にせず
階段を降りていった