<プロローグ>
ぽっちゃりお腹。
小さく、細い目。
ガサガサの肌。
化粧道具なんて持って無いし。
それ以前に、可愛い服も無いし
服のレパートリーが無い。
アイロンで髪をストレートに
することもなければ。
巻くことも無い。
だって、髪は緩やかな
立て巻きの天パーだから。
生活は至って普通で
少し違うのは
母親が家を出て、実家に
帰ってしまった事ぐらい。
親からは、正確に聞かされていないから。
私は、それからの展開は
両親に任せている。
だから私は学校から帰ったら
家族の晩御飯を作る。
頭も良くないし。
将来性も無い。
血液型も関係したのか。
やることはいつも大雑把。
その上優柔不断だから、約にも立てない。
そんな、見た目にも中身にも
ガサガサな私は。
ある日、二人の先輩と知り合った。
二人は、ブラス部の先輩。
私は美術部だから、余り関係無いと思ったけれど。
一人は友達の彼氏になって、紹介されて知った。
私は、心から二人を応援していたのに…。
そしてもう一人。
彼もブラス部の先輩で、友達に紹介された。
出会った始めは、陰気な人だとかんじていた。
ただ、擦れ違う度に
ニヤリと笑って名前を呼ばれるのが嫌で。
私は彼が嫌いだった。
嫌いだったから、話さなかった。
あの出来事が無ければ…。