教室までの帰り道の階段、一段とばしで駆け上がって来た時は時間を感じなかったけれども、2年生の教室の並ぶ二階から三階、四階と登って屋上階までは意外に時間がかかることに気が付いた。
あなたのクラスがある西側の端と私のクラスがある東側の端は、近いようで遠い。西側の端、2つの教室は高校から入学してきた生徒だけしか居ないから、同じ階だけれど近くて遠い場所。
時間はいろいろな形で仕切られたり、流れていったりするものだ。
流れを早く感じたり、止まってしまったかのように感じたり。
でも実際は、誰にでも平等に同じ様に通り過ぎている。
自分のクラスの扉を開けると、携帯の画面を見詰めたまま時間が止まってしまっている人もいる。
みずきだ。
翔くんとはあのままになってしまっているらしい。
話しかけるかどうか、悩んだ。
「千襟も藍田さんと話そうとしてるの。」
私が自分の机で帰り支度をしながら悩んでいたら、みずきの方から話しかけてきた。
普段から一緒に居るわけではなく同じクラスにいて同じ話題でみんなで笑うときに一緒に笑うくらいだ。
クラスメートという言葉をあてがう程度にしか話した事はない。