知ってるよ。?

やまだ  2006-08-06投稿
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知ってるよ。

あなたのこと、あたしよりもあのひとの方がいっぱい知ってること。


でも、あなた知らないでしょ。

あたしはあなたについての小さな発見
絶対にわすれないこと。





――…?…――

高鳴ったのと同時に、あたしの手と小さな紙袋は
鈴木くんの目の前に差し出された。



『これっ、お礼になるかわかんないんだけど、カップケーキなの!よかっ、たら…、た、食べて、ね。』


よくわからない文節の切り方をしたかもしれない。


『わ!手作り?なんか逆に悪いな。』
『そ、そんなことないの!本当に―…』


ストラップの鈴が、チリン…と鳴る。



『…ほんとに…嬉しかったの…。』


昨日の朝を思いだしながら、呟いた。


鈴木くんは、にっこり笑ってくれた。


『…そんなに喜んでもらえるとはなぁ。部活終わったら食わせてもらう!じゃ、俺今から部活なんだ。』

時計をみると、もうとっくに部活の開始時間は過ぎていた。


『えぇ!あぁっごめんね!足止めしちゃったね!』

『いや、ほんとにありがとね。じゃぁまた明日!』



鈴木くんは走って更衣室に向かった。



『…時間…無理してくれたんだ…』



緊張がとけたせいか、涙があふれてきた。



『渡せたぁ……ッ。』



鈴木くん、美味しいって言ってくれるかな。



――放課後、のりちゃんの部活が終わるまで、あたしは下駄箱で待っていた。


『のりちゃん遅い…。』

と呟いた瞬間、携帯のバイブが鳴った。

『…っとメールだ。』

のりちゃんから、今日は遅くなるから帰れない!のメール。


うつむいた瞬間、うしろで声がした。


『亜美ちゃん…?』
『…あ…。』


泉先輩だ。


『よかった!探してたの!』
『な、なんですか…』


泉先輩が、あのネ、と言って差し出したのは
あたしが今日鈴木くんに渡した紙袋だった。



『…え…これ、』
『ヨシね、卵アレルギーなの。』


………え?


『ヨシには内緒で持ってきちゃったんだけど、亜美ちゃんからもらったって…』


そんなの


知らない…。



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