「いってらっしゃ〜い」
「行ってきます……」
そんな会話の後、家を出た。
自宅から北城駅までの所要時間は15分、そこから南城駅までも15分。今日は電車の遅れもなく、予定時刻通り着いた。学校には8時20分に着いた。
教室に入ると怜がこっちを見ながら手を振っている。
「おはよう、かい君。」
「おはよう、れい。」
挨拶を交わすと、お互い昨日見たテレビ等の話を始めた。
キーンコーンカーンコーン
チャイムが鳴り、それぞれ席に着く。そしてチャイムが鳴り終わるとほぼ同時に宮垣先生が教室に入ってきた。
「はい、起立、……気をつけ礼。」
「おはようございます……」
ぼそぼそっと声が漏れるような挨拶をする。
「はい、着席してください。皆さんおはようございます。もう学校には慣れましたか?」
……返事は返ってこない。どう見ても慣れているそぶりはない。
「まだ学校は慣れていない様子ですね。でも過ごしている間に慣れますから心配しないで下さい、はい。」
その言葉に説得力などなかった。これからどのようなことが起こるか予測もできないから……
「では、昨日の宿題、出していない人は今提出して下さい。」
俺は昨日出しそびれた英語の宿題を先生に渡した。
「八嶋君…でしたね、昨日私のところに謝罪に来たのは。忘れたことはいけませんが、心掛けは良かったです。」
「あ、ありがとうございます……」
先生に褒められた。
(良かった〜、昨日謝っていて。)
他の生徒も全員宿題を提出した。しかし、謝罪はしていないらしい。だが、そのことを先生は怒る様子もなく、俺は席に戻った。
「では、昨日回収したUSBをまた渡すので、呼ばれた人から取りに来て下さい、はい。」
先生はそう言って出席番号順に名前を呼んでいった。俺も名前を呼ばれて先生から俺のUSBを受け取った。
「皆さんUSBが手元にありますか?そのUSB、ボタンが2つありますね、はい。では上のボタンを押して見て下さい。」
先生の指示を受け、俺は言われた通りボタンを押す。するとディスプレイ上にこんな文字が出てきた。
タダイマ
100PP